カイコからの贈り物

繊維(せんい)のはなし
繭糸(まゆいと)から絹織物(きぬおりもの)ができるまで
全国の養蚕と絹織物
これからのカイコ・絹

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絹(きぬ)、綿(わた)、ナイロン、ポリエステルという言葉を聞いたことがありますか。
これらはみんな繊維(せんい)の名前です。繊維とは、糸状の細くて長いしなやかなもののことです。布のはしから糸をとってほぐして細い糸を取り出したのが繊維(せんい)です。
繊維は、自然の動植物からつくられた天然繊維(てんねんせんい)と石油、石炭、木材などから人工的につくられた化学繊維(かがくせんい)に分けられます。

繊維の特長

植物繊維

麻:8000年も前から使われている繊維です。繊維の中ではもっとも強度のある繊維といわれます。吸湿性、放湿性にすぐれ夏の衣料用として人気があります。
綿:世界中で生産、消費されている繊維です。吸湿性、保温性にすぐれ熱にも強く実用性に富んだ繊維です。

動物繊維

絹:美しい光沢と肌触りの良さが特徴の繊維です。吸湿性、放湿性に優れています。また、天然繊維の中では唯一の長繊維です。
毛:吸湿性が繊維の中では最大、表面は撥水性があり、保温性に優れた繊維です。
代表的なものは、羊毛(ウール)、カシミヤやぎのカシミヤ、アンゴラうさぎのアンゴラなど。

再生繊維

木材、パルプのセルロースを溶かして繊維にしたもの。かつては日本が生産量で世界一を誇った。

合成繊維

ナイロン:最初に作られた合成繊維、強く、軽く、細い糸ができ絹に代わるものとして幅広く利用されている。
ポリエステル:合成繊維の中では、一番多く利用されている繊維。強度、熱にも強い。
アクリル:ふっくらとして柔らかくウールに似た繊維。

着ているものや家にある繊維を調べてみよう

あなたの着ている洋服にかならず小さなタグという布がついているはずです。
あなたの洋服がどんな繊維(せんい)でできているか、その繊維(せんい)にあった洗い方やアイロンの使い方などが説明してあります。
記号の意味を調べてみましょう。

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繭から生糸をつくることを製糸といいます。何個かの繭の糸がより合わされ生糸(きいと)になります。製糸工場での作業は下の図のようになります。

農家で収穫された繭は、農協を通して製糸工場に運ばれます。製糸工場では、まず繭の中のサナギが羽化(うか)しないように、繭を乾燥させてから倉庫に貯蔵しておきます。次に生糸として使える繭だけを選び、糸のほぐれがよくなるようにお湯の中で煮てから、機械で数個の繭糸をからめながら1本の生糸にします。巻き取られた生糸を乾燥させながら、円錐形のコーンやねじってかせという形に仕上げて出荷します。

繭は大切に使われています。―絹紡糸(けんぼうし)、真綿(まわた)、紬糸(つむぎいと)
生糸をつくるにには不向きな繭や繭のまわりの毛羽(けば)、そして製糸の途中ででる糸くずなども紡いで織物用の糸(絹紡糸)にします。また、繭を煮て引き伸ばして真綿(まわた)としても利用します。真綿を原料にして、手で紡いだものが紬糸(つむぎいと)で、とてもじょうぶな織物になります。

長い歴史のなかから生まれたたくさんの織物
絹織物は、使う生糸や絹糸の種類、織り方(タテ糸とヨコ糸の組み合わせなど)により、さまざまな性質をもつ織物ができます。また、精練(せいれん)といって、汚れや糸の表面の工夫により、特色のある絹織物がたくさんつくられてきました。

先練織物(さきねりおりもの)
生糸や撚糸を精練してから織り上げる織物。タテ糸とヨコ糸の色の組み合わせで、しまや模様を織ります。

後練織物(あとねりおりもの)
織り上げてから精練をする織物。表面のセリシンがなくなるため、糸と糸の間にすき間ができ、柔らかな織物になります。

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絹織物の歴史は古く、各地で独特の織物が工夫されてきました。
いろいろな絹織物の特徴(とくちょう)を調べてみましょう。

おもな絹織物産地
1.京都府(丹後)縮緬、(京都)京友禅、(西陣)帯地、西陣お召、羽織、金襴、佐賀錦
2.福井県(春江)パレス・精華・綸子ちりめん、(福井)幅広羽二重
3.新潟県(五泉)羽二重、絽、精華、塩瀬、(加茂)無地縮緬、絽、紬(小千谷)紬、小千谷縮、
4.滋賀県(長浜)縮緬、浜紬
5.石川県(金沢)加賀友禅、幅広羽二重、(小松)綸子縮緬(加賀)羽二重(白山)白山紬
6.山形県(白鷹)白鷹お召、(長井)長井紬、(米沢)黄八丈、紅花紬、(鶴岡)羽二重、朱子縮緬
7.福島県(川俣)軽目羽二重、裏絹、(会津若松)会津木綿
8.山梨県(大月・都留・富士吉田)着尺紬、コート地
9.群馬県(桐生)桐生お召、染羽織、絽、紗、帯地(伊勢崎)緯総絣、(前橋、高崎)裏絹
10.鹿児島県(鹿児島)大島紬、(奄美)本場大島紬
11.兵庫県(但馬)縮緬、朱子
12.福岡県(福岡・博多・久留米)帯地、裂地
13.東京都(東京)江戸小紋、友禅組紐、(武蔵村山)村山大島紬、(八王子)多摩結城
14.埼玉県(秩父)着尺、丹前地、(小川・越生・深谷)裏絹、(飯能)飯能大島紬
15.茨城県(石下)石下結城紬
16.神奈川県スカーフ
17.岐阜県(羽島)着尺、(郡上八幡)郡上紬
18.富山県(城端)羽二重、絽
19.沖縄県(本島)紅型、(久米島・宮古島)紬
20.長野県(上田・松本・飯田)信州紬、裏絹
21.静岡県(浜松)着尺
22.栃木県(足利)足利紬
23.宮崎県(都城)大島紬、薩摩絣
三重県(伊賀上野)伊賀組紐、帯締

絹織物の名称
かすり、着尺きじゃく、金襴きんらん、小紋こもん、しゃ、朱子しゅす、ちぢみ、縮緬ちりめん、つむぎ、羽二重はぶたえ、紅型びんがた、綸子りんず、ろ、友禅ゆうぜん

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現在、私たちの身のまわりのものの多くは、大量生産が可能な合成繊維でしめられています。しかし、最近になり環境、健康・安全にたいする意識がたかまり、天然素材を見直し積極的使おうという人たちが増えてきました。また石油や石炭などの化石資源を使いはたしてしまうという予測もあります。和装が中心の絹製品も、これからはもっと私たちの身近な商品にも利用されていくようになります。

繊維としての研究
絹には独特の光沢、肌ざわり、しなやかさがあります。一方、合成繊維は、いろいろな使い道に合わせた機能性をもっています。こうした、ほかの繊維の優れた機能と絹を組合わせたハイブリッドシルクの開発がすすめられています。

こんなものにもシルクが使われているよ
合成繊維と絹の大きな違いは絹のもつ吸湿・放湿性です。いやな静電気が起こらず肌着としても人にやさしいことです。最近、この絹を粉にしたシルクパウダーが開発されるとともに、絹タンパク質のいろいろな機能性が見出され、衣料以外の分野で活躍しています。コレステロールや血糖値抑制機能を利用した健康食品、保湿や紫外線吸収機能を利用した化粧品などいろいろな商品が開発されています。

養蚕の歴史はバイオテクノロジー
バイオテクノロジーということばが最近よく使われるけれど、数千年ものあいだ品種改良を進めてきたカイコはバイオテクノロジーそのもの。優れた性質だけを引き出した一代交雑種の研究やえさになる桑の改良など、今の私たちの生活に活かされたことがたくさんあります。

カイコはすごい
最新の昆虫の機能研究やゲノム研究でもカイコは活躍しています。その狙いは、人工的には作り出せない、わたしたちに役立つさまざまなタンパク質や物質を、カイコに作ってもらおうということです。カイコが作り出すものですから安全性も高く、ワクチンや抗菌物質の製造など、昆虫工場としての役割を期待されています。

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