蚕業技術研究所

卵から雄のみがふ化する特別な蚕品種の開発(1)

蚕は同じ量の桑を食べても、雄の方が20%ほど多く絹を生産し、糸も細くて長いので、昔から雄の蚕のみを飼育するのが夢でした。
平成17年3月、平衡致死法によって卵から雄のみがふ化できる蚕品種「プラチナボーイ」を開発したと記者発表しました。実に37年間の研究成果であり遺伝学の芸術と言えるものです。
技術的には、雌雄の性に関与する性染色体(WとZ)、2種類の劣性致死遺伝子(l1、l2)およびガンマー線照射技術を組み合わせて特別な蚕を作出したものです。すなわち、性染色体の組み合わせがZZである雄が、その染色体に2つの劣性致死遺伝子を図の右上のように持っているようにします。ガンマー線照射した蛹から生まれた多数の蚕の中から、この特別な雄を発見しました。そして、この特別な雄を、性染色体がWZの普通の雌に交配すると、図に示したように4種類の染色体を組み合わせた雄と雌の卵が作られます。この場合、雄は劣性致死遺伝子の働きを抑える正常な遺伝子(+)を持っているので胚子は育ち写真のようにふ化できます。しかし、正常な遺伝子を持たない雌は致死遺伝子が働いて途中で成育を中断してしまいふ化できません。

卵からふ化した雄の蚕 雄のみがふ化する原理
【卵からふ化した雄の蚕】
【雄のみがふ化する原理】

白い卵は雄の蚕がふ化したあとの殻で黒い卵はふ化できなかった雌の卵

2種類の劣性致死遺伝子を持つ特別な雄蛾を、普通の雌蛾に交配すると、雄のみがふ化する卵ができる

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