蚕業技術研究所

凍結保存した精子を用いる蚕蛾の人工授精

蚕の人工授精は1933年に初めて成功していますが、技術的な困難さから、その後研究はほとんど進んでいませんでした。人工授精の方法ができると、品種の改良と保存に役立つだけでなく、他の生物の遺伝子を精子に運ばせて、その品種の性質を改造することにも利用できます。
このような目的で、精子を凍結保存し、いつでも雌の蛾と交配することができる技術を開発しました。雄の蛾からとりだした精子を凍結保護剤と混ぜてストローに入れ、最初は−80℃で凍結し、つぎに−196℃の液体窒素中に移し保管します。このストローを37℃のお湯に浸けて溶かした精子をトリプシンという酵素で処理してから雌蛾に注入すると受精卵が生まれます。その受精率は、農家で飼育される普通の蚕の場合には非常に高いのですが、普通の蚕を作るのに必要な原種という蚕や遺伝資源の蚕の場合には、その種類によって成績にバラツキがみられます。しかし、受精卵からふ化した幼虫の成長とそれが作った繭の大きさ、羽化した蛾が交尾して産む卵の数は、凍結しない精子を使用した場合と同じでした。

凍結保存した精子による人工授精率 普通の蚕-97.5% 東-90.8% 日-42.0% 朝-37.8% ピュアマイソ-ル-66.9% 小石丸-64.8% 烏竜-23.0% 烏竜(ウーロン)の人工授精 不凍精子の場合(左), 凍結精子の場合(右)
【凍結保存した精子による
人工授精率】
【烏竜(ウーロン)の人工授精】
不凍精子の場合(左)
凍結精子の場合(右)
<<前へ 主な研究成果TOPへ 次へ>>
Copyright2007-The Dainippon Silk Foundation All rights reserved.