明けましておめでとうございます。
本年も、我が国の蚕糸絹業の発展のため、大日本蚕糸会がその役割を果たせるよう努めてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
大日本蚕糸会では、令和8年度から新中期事業計画(計画期間:令和8年度~12年度の5か年)に基づき、蚕糸業の収益性の改善を目指した新たな蚕糸対策を実施していくことにしています。
戦後の繭生産のピークであった昭和43年以降、養蚕農家数、繭生産量の減少が続いており、令和6年には養蚕農家数は134戸、繭生産量は38トン(生糸換算約7トン)となるまで減ってしまい、養蚕農家数、繭生産量の減少に歯止めがかかっていません。また、その繭の生産量のうち3/4が70歳以上の農家によって担われており、その農家の85%には後継者がいない状況にあります。
日本の蚕糸業がこのように衰退してしまった根本的な要因は、輸入生糸との価格競争の結果、国産生糸の価格が低迷したため養蚕農家の収益性が著しく低下してしまったことにあります。現在の平均的な繭の取引価格から試算しますと、養蚕農家の手取りは時給550円です。
また、国産の繭から生糸を生産する製糸工場も、採算性の悪化等から撤退が続き、現在わずか5社となってしまいましたが、国産生糸価格の低迷により、全ての会社で製糸部門は赤字経営となっています。
このままでは、遠からず日本から蚕糸業がなくなってしまうことは明らかです。
我が国の蚕糸業をこれからも存続させていくためには、生産コストに見合う繭や生糸の価格を速やかに実現して蚕糸業の収益性を改善することにより、養蚕業の後継者、新規参入者を確保するとともに、製糸業の経営の健全化を図ることが必要です。
そのためには、全ての蚕糸業関係者が「我が国の蚕糸業の存続」という目標を共有して、国産生糸を使った絹製品を消費者に適切な価格で購入していただけるよう一体となって取り組まなければならないと考えています。
また、そのような取り組みが成果を上げるためには、消費者の皆さんに日本の蚕糸業の歴史やその文化的な価値を理解していただき、国産生糸を応援していただくことが不可欠です。
大日本蚕糸会としては、令和8年度から国産生糸の新たな販路の開拓に重点的に取り組むとともに、新たに養蚕業に参入する者や生産規模を拡大しようとする者に対する支援を拡大します。また、消費者の皆さんを対象とした次の取り組みを実施することとしています。
(1)国産繭・生糸サポーター制度について
蚕糸業の歴史を学ぶことを通じて、多くの方々に国産の繭・生糸の歴史的・文化的な価値を認識して頂き、我が国の蚕糸業が産業として存続していくことの重要性を理解していただくため、国産繭・生糸を応援してくれるサポーターの情報ネットワークを構築する国産繭・生糸サポーター制度を創設します。そのネットワーク通じて、国産繭・生糸に関わる様々な情報の発信、共有を行うとともに、サポーターをはじめ多くの方々に国産繭・生糸に関する様々なイベントに参加していただくこと等を通じて、日本の蚕糸業に対する支援の輪を広げていきたいと考えています。
この趣旨に賛同する多くの方にサポーターになっていただきたいと考えています。
(2)「蚕糸の日」のイベント
明治天皇の皇后の昭憲皇太后が明治4年3月14日(旧暦)に宮中で御養蚕を始められたことに因んで、3月14日が「蚕糸の日」と定められています。今年は3月13日(金)に、「蚕糸の日」記念イベントとして東京都渋谷区神宮前にある東京ウィメンズプラザで伊勢神宮神宝装束部の宮本史典氏による記念講演「神宮式年遷宮と御料生糸」と「日本の蚕糸業が消滅してもいいの?」をテーマとしたパネルディスカッションを開催する予定です。ご関心のある方に是非ご来場いただきたいと思っています。
大日本蚕糸会は、国産生糸が日本の文化に欠かせない素材として将来に継承されていくためにも、引き続き、我が国の蚕糸業が持続的に営まれるよう支援していきたいと考えておりますので、今後とも関係者の皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。
改めまして、関係者の皆様の今年一年のご健勝とご多幸をお祈りしまして新年のご挨拶といたします。